外壁塗装のキホン

外壁・屋根塗装に使える
補助金・助成金の種類や条件とは?

住宅の外壁や屋根は、何年もの歳月をかけて少しずつ劣化していきます。外壁や屋根の劣化を放置していると、室内に雨水が侵入して家を傷めてしまう原因になります。
家の寿命を縮めないためにも、定期的なメンテナンスがとても大切です。
しかし、外壁や屋根の塗装などのメンテナンスには、高額な費用が発生する場合がほとんどです。
そんな時に使える補助金や助成金があることを知っていれば、外壁や屋根の塗装工事にかかる費用を抑えることができます。
そこで今回は、外壁や屋根塗装の工事でもらえる補助金や助成金について詳しく解説します。

外壁・屋根塗装でもらえる補助金・助成金とは

住宅の外壁・屋根塗装では、いくつかの条件を満たした場合に補助金や助成金を受け取ることができます。
国の制度ではなく、各自治体が運営しているものなので、自治体によって対象となる住宅の条件や支給金額などが異なる場合があります。
外壁・屋根塗装でもらえる補助金・助成金

外壁・屋根塗装の相場

外壁・屋根塗装の工事を行なうには、数10万円の費用がかかります。
一般的な30坪の住宅の外壁や屋根の塗装をするには、いくらぐらいの費用が必要なのか、具体的に見ていきましょう。

  • 【外壁塗装】約60〜100万円
  • 【屋根塗装】約20〜70万円

外壁や屋根の塗装の費用は、塗料の種類や塗装の面積などにより大きく変わります。
一般的な30坪の住宅の外壁・屋根塗装には30万円以上の費用がかかることがほとんどです。

「補助金」と「助成金」の違い

補助金と助成金はどちらも地方自治体から交付され、返済の必要がないという点が共通しています。
共通点がある一方で、補助金と助成金にはいくつかの違いがあります。

補助金」は、申請をしたら誰でも受け取れるものではありません。
年度のはじめに各自治体が予算を組み、補助金を支給する件数も決められています。そのため、補助金を受け取れるかどうかの審査があり、受け取ることができない場合があります。
一方「「助成金」は、一定の条件を満たし必要な書類を全て提出していれば、原則誰でも受け取ることができます。

補助金・助成金は自治体から交付される

外壁・屋根塗装に使える補助金や助成金は、地方自治体から交付される制度です。
国からもらえるものではなく、地方自治体が独自の制度として行っているので、自治体ごとに申請条件や支給金額などが異なります。
補助金や助成金の申請を検討している場合は、お住まいの自治体の制度をよく調べてみてください。

外壁・屋根塗装でもらえる補助金・助成金の種類

外壁・屋根塗装でもらえる補助金・助成金には、大きく分けて2つの種類があります。

  • 省エネリフォーム
  • 一般的なリフォーム

施工内容や使用する塗料などの条件によって、申請できる補助金の種類が変わりますので、具体的に解説していきます。

外壁・屋根塗装リフォーム

省エネリフォーム

省エネリフォームやヒートアイランド減少の防止などの、環境に配慮したリフォームを行なう場合に受け取れる補助金・助成金です。
外壁・屋根塗装の場合は、遮熱性塗料を使った塗装工事で補助金や助成金が支給される自治体が多いです。

一般的なリフォーム

さまざまなリフォーム工事の費用を助成・補助してくれる制度は、全国の多くの自治体で運営されています。
一定の条件を満たせば、外壁・屋根塗装の工事に使える補助金や助成金は多くあるので、お住まいの自治体の情報収集をしっかりと行いましょう。
最近では、子育て世帯や若者世帯向けのリフォーム工事への補助金や助成金を充実させている自治体が多い傾向にあります。

外壁・屋根塗装で補助金・助成金がもらえる条件

外壁・屋根塗装で補助金・助成金を受け取るためには、いくつかの条件を満たしている必要があります。
細かい条件等は自治体ごとに異なりますが、ほとんどの自治体に共通している申請条件について解説します。
外壁・屋根塗装で補助金・助成金がもらえる条件は各自治体に確認しましょう

申請を行う地域に居住している

外壁・屋根塗装の補助金・助成金は地方自治体が行っている制度なので、申請を行なう地域に居住していることが第一条件となります。
また、外壁・屋根塗装工事後に住民票を該当の地域に移すことを条件としている自治体もあります。
補助金・助成金は、お住まいの自治体または居住予定の自治体で申請をしましょう。

税金を滞納していない

外壁・屋根塗装の補助金・助成金の財源は税金です。
そのため、税金を滞納している人が申請をしても、補助金や助成金が支給される可能性はとても低いです。
補助金や助成金を受け取るためには、最低限の納税は行っておく必要があります。

過去に同様の助成金を受け取っていないこと

過去に同じような補助金や助成金をすでに受け取ったことがある人は、補助金や助成金の対象外となります。
過去に補助金や助成金を受け取っている場合、同じ自治体に同じ住宅でのリフォームに関する補助金や助成金を申請しても受け取ることができないので注意が必要です。

着工後に実績報告書を提出

工事が終了したあとに、きちんと工事を行ったことを証明するために実績報告書を提出する必要があります。
この実績報告書を提出していないと、補助金や助成金に申し込んでいても、受け取ることができません。
必ず工事が完了したという証明が必要になります。報告書は必ず提出しましょう。
自治体によって報告書の内容や添付書類などが異なるので、事前にしっかりと確認をしておきましょう。

補助対象工事であるかを確認する

最近はエコや省エネリフォームを対象に補助金や助成金を交付している自治体が多い傾向にあります。
外壁や屋根塗装工事の場合は、断熱塗料を使用していることが条件として挙げられているケースが多いので、こちらもあわせて確認をしておきましょう。
工事終了後に、対象の塗料を使っていなかったことが判明し、補助金や助成金が受け取れないなどのトラブルを防ぐためにも十分に注意が必要です。

また、外壁・屋根塗装の補助金・助成金を受け取るためには、対象の住宅が建築基準法に違反していない建物である必要があります。
こちらも事前にしっかり確認しておきましょう。

施工業者に関する条件のある自治体も

自治体によっては、施工業者の所在地などの条件を設けている場合があります。
施工業者が対象自治体内に店舗や事務所を置いていることを条件としているケースがほとんどです。
これは、地域経済の活性化を目的とした条件として設けていることがほとんどなので、指定の地域の施工業者を探して依頼しましょう。

外壁・屋根塗装の補助金・助成金の申請から交付までの流れ

外壁・屋根塗装の補助金・助成金の申請から交付までの一般的な流れについて解説します。
細かい部分は自治体ごとに異なるので、申請を検討する際はお住まいの自治体の情報を事前に確認しましょう。

【1】申請条件を確認する

自分が住んでいる自治体が運営している外壁・屋根塗装の補助金・助成金制度の申請条件や必要書類などについて事前にしっかり確認をしましょう。
事前に確認をしていないと、申請をしても条件を満たしていないなどの理由で補助金や助成金が支給されない可能性があります。必ず確認をしましょう。

申請条件を確認する
【2】自治体に申請を行う

諸条件を確認し問題がなければ、実際に自治体に申請を行いましょう。
工事前に提出をしなければ、補助金や助成金の対象外となってしまうケースがほとんどなので、必ず着工前に提出をしましょう。
その他にも提出が必要な書類があります。主な必要書類は以下の通りです。

  • 住宅の登記簿謄本
  • 工事の見積書・契約書
  • 設計図面
  • 施工前写真

これらの書類以外にも必要な書類がある場合がありますので、事前に各自治体の情報を確認しておきましょう。

自治体に申請を行う
【3】工事を行う

自治体への申請が完了したら、実際に工事を行います。
工事中は基本的に何もする必要はありませんが、施工範囲や使用する塗料などに変更があった場合は、すみやかに自治体に届け出る必要があります。

外壁の汚れをしっかり洗浄しておく
【4】工事完了報告書を提出する

工事が完了したら、施工前と施工後の写真や工事完了報告書を自治体に提出します。
その他にも、提出の必要がある書類がある場合は合わせて提出してください。
また、施工業者からの請求書を添付する必要がある場合があるので、事前に準備しておきましょう。

工事完了報告書を提出する
【5】補助金・助成金を受け取る

補助金・助成金の申請に必要な手続きがすべて済んだら、補助金や助成金を受け取ることができます。
何事もなく申請や手続きが進んでいる場合、工事終了後から1〜2ヶ月ほどで補助金や助成金が振り込まれるケースがほとんどです。

外壁・屋根塗装でもらえる補助金・助成金

外壁・屋根塗装で補助金・助成金をもらうための注意点

外壁・屋根塗装で補助金や助成金をもらうためには、いくつかの注意点があります。
事前にしっかり確認し、「申請したのにもらえなかった!」ということにならないようにしましょう。

工事着工前に申請が必要

外壁・屋根塗装でもらえる補助金や助成金はほとんどの場合、工事が始まる前に自治体に申請する必要があります。
必ず着工前に必要書類をそろえて自治体に申請を行いましょう。

住宅以外は基本的に対象外となる

外壁・屋根塗装の補助金や助成金の対象は、ほとんどの場合が居住を目的とした住宅のみです。
店舗や事務所は対象外となりますので注意が必要です。
また、店舗兼住宅などのように、住宅と店舗が繋がっている場合は、その割合などによって補助金・助成金額が変わる可能性があります。

応募者が多いと早く締め切られることがある

ほとんどの自治体の補助金は予算が決められており、その予算額に達した段階で募集を締め切る可能性があります。
希望者が多いと予算に達するのも早いので、申請を検討しているのであれば、できるだけ早く施工業者に見積もりを取ることをおすすめします。

補助金・助成金を受け取るための条件が細かい自治体も

外壁・屋根塗装の補助金や助成金を受け取るための条件は、自治体によって変わります。
使用する塗料や塗装範囲まで細かく定められている自治体もあり、申請の際にしっかり確認しておかないと、補助金や助成金を受け取れなくなるケースもあります。
各自治体の申請条件は、申請前に確実に確認をしましょう。

外壁・屋根塗装の補助金・助成金の一例

ここからは、外壁・屋根塗装の工事に使える補助金や助成金の例をいくつかご紹介していきます。
(下記の例は2022年現在の内容となりますので、予めご了承ください。)

【東京都品川区】
品川区住宅改善工事助成事業

東京都品川区の助成金事業は、品川区民であることや税金を滞納していないこと、所得制限などが設けられています。
外壁や屋根の塗装工事に遮熱性塗料を使用した場合に、助成金の対象となります。
品川区住宅改善工事助成事業の詳しい情報を知りたい方は品川区HP内の住宅関係の融資あっ旋・助成ページをご覧ください。

対象工事例
  • 遮熱性塗装工事
  • 断熱化
  • 日射調整フィルム設置
対象者
  • 品川区民である
  • 工事対象住宅に居住している
  • 前年所得が1200万円以下である
  • 住民税を滞納していない
  • 賃借の場合は所有者の許可を得ている
支給金額
上限20万円で工事費用の10%

【三重県名張市】
名張市リフォーム等補助金交付事業

三重県名張市の補助金事業は、屋根の塗装や軒裏の改修、外壁塗装工事などに対して支給されます。
名張市に住民票があること、過去に同じような補助金の支給を受けていないことなどが条件として挙げられています。
名張市リフォーム等補助金交付事業の詳細は、三重県建設労働組合名張支部HP内のリフォーム等補助金交付事業のページをご覧ください。

対象工事例
  • 屋根・軒裏の改修(塗装含む)
対象者
  • 名張市内に住民票がある住宅の所有者
  • 1年以上名張市に住民票があり、居住している
  • 過去に同様の補助金の給付を受けていない
支給金額
上限20万円で工事対象経費の⅓

【兵庫県明石市】
明石市住宅リフォーム助成事業

断熱性塗装工事を行なうことで助成金の対象になります。
明石市に住民票があり、税金などの滞納がないこと、過去に同じような助成金を受け取っていないことなどが条件となっています。
明石市住宅リフォーム助成事業について詳しく知りたい方は、明石市HP内の市民生活局 産業政策課のページをご覧ください。

対象工事例
  • 遮熱性塗装工事(屋根・外壁)
  • 高断熱浴槽設置
  • エコ水栓器具取り付け
対象者
  • 明石市に住民票がある
  • 申請者が所有し居住している市内の住宅
  • 市税の滞納・市の各種融資について滞納がない
  • 2009年〜2021年の間に同様の助成を受けていない
支給金額
上限10万円で工事費用の10%

【山口県防府市】
防府市安全・安心・住まい助成事業

屋根や外壁の塗装や改修などの工事に助成金が受け取れます。
防府市に住民票があり、市税の滞納がないことなどが条件として挙げられています。
防府市の場合、過去に助成金を受け取っていないのではなく、昨年度に受け取っていないことが条件となっています。
防府市安全・安心・住まい助成事業についての詳細は、防府市HP内の商工振興課ページをご覧ください。

対象工事例
  • 屋根、外壁、軒天の改修、塗装
  • 雨樋の取替
  • 床、壁、天井材、畳の取替・修繕
対象者
  • 防府市に住民票がある
  • 市内に住宅を所有し、居住している
  • 市税の滞納がない
  • 昨年度に当事業を利用していない
支給金額
上限10万円で工事費用の5%

外壁・屋根塗装の補助金・助成金に関するまとめ

外壁・屋根塗装に使える補助金や助成金について解説しました。
外壁や屋根の塗装には、数十万円単位の費用が発生します。この費用を少しでも抑えるために、補助金や助成金を上手に活用しましょう。
補助金や助成金の申請には細かい注意点が多いうえ、自治体ごとに条件や必要書類が大きく異なります。実際に補助金や助成金の活用を検討している方は、できるだけ早い段階でお住まいの自治体の詳細な情報を確認するようにしましょう。
また、自治体の制度を賢く活用して、費用をできるだけ抑えた外壁や屋根の塗装工事を叶えましょう。

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